フレンチミュージカルの場合、基本的には、歌手、ダンサーという構成ですが、このミュージカルには俳優(comedien / comedienne)=歌を歌わない人も登場します。
まずは歌手から。役と役者名を載せています。説明書きは、ミュージカルのパンフやWikiを参考にしています。登場人物は架空の人物と実在の人物が半々くらいです。
Ronan Mazurier (ロナン・マズリエ)(Louis Delort)
農民、後に若き革命家となる。父を兵士に殺され、その復讐を心に誓い、パリに上京する。そこで、デムーラン、ダントン、ロベスピエールらの革命家たちと出会い、自身も「新しい考え」に目覚めていき、革命へと身を投じる。その中で、マリー・アントワネットの子どもの家庭教師をしていたオランプと恋に落ちる。
Olympe du Puget(オランプ)(Camille Lou)
※du Pugetと付いているのは、プジェ家のオランプということだと思います。
マリー・アントワネットの子どもの家庭教師(でも、マリー・アントワネットの侍女のような役も担っているように舞台では見えました。)。父は、バスティーユ監獄の看守(パンフには、lieutenantと載っているので、軍人の可能性もありますが、舞台を見た感じでは、看守か所長のように見えました。)。主君であるマリー・アントワネットに献身的に尽くす。パレ・ロワイヤルで偶然出会ったロナンと恋に落ちるが、自らと正反対の世界に生きるロナンとの愛に苦悩する。
Camille Desmoulins(カミーユ・デムーラン。Wikiはこちら)(Rod Janois)
実在のフランス革命で重要な役割を果たしたダントン派のジャーナリスト。1789年7月にPalais Royal の一角にあるCafe du Foyのテーブルの上に乗り、民衆に向かって「武器を取れ!(Aux armes!)」と民衆に決起を促したことでも有名(→ミュージカル中にこの場面を再現したシーンが出てきます。)。ミュージカルでは、ロナンをほかの革命家に紹介する、という役回りになっています。また、ジャーナリストという役回りからか、ミュージカル全体を通して、何となく語り部っぽい役割を与えられているような役のような気もします。ミュージカルには出てきませんが、彼は、ロベスピエールの恐怖政治に対抗すべくダントンと共にキャンペーンを展開するも最終的には処刑される、という悲しい運命を辿った人です。
Aux armes!と民衆に決起を促すデムーラン。 |
説明するまでもないですが、ルイ16世の王妃。ミュージカルでは、彼女とフェルゼンとの逢引きをオランプが手助けしたことが発端で、ロナンとオランプが出会ったというストーリーになっています。民衆の怒りなど無頓着で豪奢な生活を送るシーンが冒頭に出てきますが、その一方で息子であるルイ=ジョゼフ・ド・フランスの死を嘆く母としての姿も描かれます。そして、彼女の凋落、神に自身の人生への後悔や懺悔の念を吐露する最期も描かれます。なので、そういう意味では、単に贅沢三昧の王妃といっただけでなく、ちょっと救いようがある感じに描いている、と言えるかもしれません。
フェルゼンと密会中。アントワネットはもっと素敵な衣装を着ているのですが、ちょっとその写真が手元にありませんでした。。。 |
こちらは、世界史等でもお馴染みの有名なフランス革命の指導者の一人(Wikiはこちら)。ミュージカルはバスティーユ監獄の襲撃でフィナーレを迎えるので、彼のその後の恐怖政治は描かれません。というわけで、ミュージカル中では結構いい人、というかハートが熱い革命家という感じで描かれています。そんなわけで、その後の歴史を知っていると、若干違和感があるというか、ちょっと変な感じに思えます。
情熱的なロベスピエール。衣装も真っ赤。 |
ロナンの妹(姉の可能性もあり。)。父の死後、兄に捨てられ、パリのパレロワイヤル付近で娼婦として生計を立てている。他の女性を率いてヴェルサイユへと向かう。彼女の衣装は実はドレスの片側の袖が男性の服(将校の制服のように見える)のようになっていたり、自立した意志の強い女性として描かれています。
Lazare, comte de Peyrol (ラザール(ペロール伯爵))(Matthieu Carnot)
将校。ミュージカルの中では旧体制側の代表として、王や王家に忠実な人間として描かれています。というわけで、若干サディスティックな感じ?笑。ロナンにとっては、父を殺した敵に当たる人物。劇中も囚われの身となったロナンがラザールと激しく言い争う歌が登場します。要するに、劇中の中での悪役No1(笑)の役どころですね。
完全にいっちゃってます笑。 |
こちらも世界史でお馴染みの革命指導者の一人(Wikiはこちら)。ですが、ミュージカルでは、部類の女好き、で実におおらかな人物として描かれています笑。こう言ってしまうと実にちゃらい感じですが、その一方で革命家の間で意見の対立が起きたときに、「喧嘩はやめろよ!」と言う器の大きさも併せ持った人物として描かれています。
この写真は最後の場面なので、真面目モードのダントン笑。 |
Auguste Ramard(オーギュスト・ラマー)(Yamin Dib→ Willy Rovelli)
ルイ16世の弟であるアルトワ伯爵の血も涙もない手下。フェルゼンと王妃との逢引きの場に出くわし(オランプの計らいで2人の逢引きであることはばれずに済んだ)、それをネタに、あわよくば、とオランプを自分のものにしようと彼女に執拗に言い寄る。彼女と恋仲にあるロナンに激しい嫉妬を抱き、彼を亡き者にしようとする…。彼は、劇中1曲だけ歌を歌いますが、基本的にはセリフというか、劇中のコミカルな場面を盛り上げる役です。オランプへの偏愛も、基本的にはコミカルに描かれていて笑えます。女装したり、とにかく面白い人です。
嫌がるオランプを無理やり誘おうとする笑。 |
「l'enfant du Palais Royal(パレ・ロワイヤルの子ども)」。王家側、革命家側どちらの情報にも精通している少女。ロナンとオランプに情報を提供し、彼らの秘密の恋を応援する。ちょっと小生意気な感じがかわいい役どころです。
真ん中がシャーロット |
Louis XVI(ルイ16世)(Philippe Escande)
ミュージカルでは、ルイ16世は、完全に子どもっぽい何もわかってないおバカな王様として描かれています。。。というわけで完全にお笑い要員(爆)です。
Comte d'Artois(アルトワ伯爵)(Cyril Romoli)
ルイ16世の弟。優柔不断&政治に無関心な兄であるルイ16世に何かと進言する。ミュージカル内では、陰で兄を操ろうとする結構腹黒い役回りです笑。手下であるラマーとの軽妙なやりとりも見どころの一つです。
Gabrielle de Polignac(ポリニャック伯爵夫人)(Tatiana Matre)
マリー・アントワネットの取り巻き。
Père d'Olympe(オランプの父)(Philippe Escande)
自分がついた嘘が元で、牢獄に閉じ込められたロナンを救い出すため、オランプは牢獄の鍵を持つ父をたぶらかし(笑)、ロナンを救い出そうとします。
Tournemain / Loisel (トゥルヌマン、ロワゼル)(Michael Feigenbaum→Valentin Vossenat/ Olivier Mathieu)
ラマールのおバカな手下たち(笑)。コミカルな演技で笑わせてくれるのですが、彼らはセリフというより超絶なボディーパーカッション等を披露して、笑いをとっていました。
Jacques Necker(ジャック・ネッケル→Wiki こちら)(Guillaume Delvingt)
財務長官。ルイ16世に罷免される。この事件が、デムーランの演説にもつながっていく。
Père de Ronan et Solène(ロナンとソレンヌの父)(Guillaume Delvingt)
冒頭、ロナンの目の前でラザールに殺されます。
Axel de Fersen(アクセル・ドゥ・フェルゼン)
アントワネットの恋人。2人の逢引きが出会うはずのなかったロナンとオランプを引き合わせ、禁断の恋へと向かわせます(→こう書くと本当にベタ。。。)
dauphin du roi (ルイ=ジョゼフ・ド・フランス)(シャーロットを演じた女の子が男装(笑))
ルイ16世とマリー・アントワネットの間に生まれた長男。7歳半で夭折する。ロナンとオランプは彼の葬式で再会する(→なんかフレンチ的展開(笑)。)。
Honoré-Gabriel Riqueti de Mirabeau(ミラボー) (Guillaume Delvingt)
というわけで、王家、革命家、双方の人物が出てきて、絶妙に絡み合う物語になっています。
そして、あとは、華麗なるダンスを踊るダンサーたちが、登場します。
あらすじ①はこちらです。