2014年6月26日木曜日

Gala Concert de la Comédie Musicale Française en octobre! @ thatre Orb〜10月にフレンチミュー・ガラコン@シアターオーブ〜

今日、仕事から帰ろうと思い、メールチェックをしてびっくり。ミュー友達の方から、10月にフレンチガラコンがあって、われらがケベコワ、マット(Matt Laurent)、リシャール(Richard Charest)、ロベールさん(Robert Marien)ほか(ほかが誰と交渉中なのかは謎ですが。。。)がやってくるという話をキャッチ!なぬ!!!

なぜか、偶然にも「やっぱり今年、モントリオールとケベックシティー行ってみようかなあ〜」と思い、情報収集を始めていたところだった。とりあえず、こっちは保留 (笑)。

今年は、フレンチミュー氷河期だろうな〜(@日本)と思っていた自分にとっては青天の霹靂。でも、それゆえ、このサプライズは、すっごくすっごくうれしかった。

しかも10/17(金)、18(土)、19(日)の3 days。めっちゃフレンチミューソングを堪能できるではないか!(→すでに3回行こうとしている自分(苦笑))。

オーブHP→http://theatre-orb.com/lineup/14_fmc/


予定演目を見るとNDP、ロミジュリはもちろん、Mozart l'Opera RockやRoi Soleilなどからのラインナップもあるようで、ちょっと楽しみ。

ロミジュリとかやるんだったら、ダミアン(・サルグ)とか呼んでくれないかなー(最近、人気者だから難しいか。)。ローラン(・バン)ももし出れたらきっと日本のファンにもアピールになると思うし、オペラ座とか吹き替えもしてたからぴったりだと思うが、どうだろう??

ジョン(・アイゼン)もRJ公演でかなり人気があったからひょっとしたらありなのかなあとかちょっと考えてみたり。→妄想広がる笑。Mozartのロックな楽曲とか絶対似合うと思うなあ。シリルもファンミをやったりしていたし、可能性はあるかなあ。

女子が一人もいないので、きっと今、女性シンガーに出演交渉してるのかなあとか予想する。でも、RJのジョイ(・エステル)とかはドラマで忙しそうだし、韓国ガラコン(×2)に出てたナディアとかありなのかなあとかちょっと予想。日本の公演には来たことないけど、フランス語でエスメラルダの楽曲歌えるし。あ、でもよく考えたら、RJのジュリエットの2ndをやっていたカンディス(・パリス)は、以前、韓国公演(英語版だけど)でエスメラルダの1stだったので、こっちのほうが可能性が高いかな。そういえば、カンディスのエスメラルダ見たいなーと思っていたので、これが実現したらちょっとうれしい。

theatricalな演出もあるということなので、去年のウィーン・ミューコンのように、ひょっとすると衣装着用もあるのかなとか思ったり。リシャールがあのブルーコートを着てフランス語でカテドラルを歌ったら私はきっと号泣する 笑。

あと、このガラコンでひょっとしたらリシャール、Rimbaudの楽曲歌ってくれるんじゃ?!という気がしてきた。2013年の韓国ガラコンのときと設定がよく似ているし、あのときよりも公演が全然具体的な感じになっているし、可能性としてけっこうありな気がする。

ヴィタリーetc.がまた聞けたら私はこの上なくうれしいよー。

この公演で、リシャールがもしランボーの楽曲を歌って、日本の観客の皆さんにそのすばらしさが伝わったら、きっと、日本公演への道がまた近づいてくるんじゃ??とリシャール・ファンとしては妄想が広がる。。。あー、でもぜひそういう機会になって欲しいなあ。

あの愉快な二人にまた会える!
そして、超classeなロベールさんも!
これで少なくとも秋まで楽しく過ごせそうだ。→単純な人。
そして、リシャールにランボーの進捗を聞かないと…。→完全にガラコン裏テーマ笑。
そういえば、リシャール誕生日10/14なので、何かお祝いができるといいなあ。


2014年6月8日日曜日

New Musical: Mistinguett, reine des années folles ~新作フレンチ・ミュージカル ミスタンゲット~

今年の9/18~来年の1/4までCasino de Parisで公演予定(そのあとフランスのツアー)のフレンチミュージカルMistinguettの話。

2014年は、大型のフレンチミュージカルがあまりなさそう、とかぼやいていた気がしますが、そういえば、実はこのミュージカルが今年上演でした(汗)。。。

Mistinguettは、Wiki情報によると、「ミスタンゲット(Mistinguett, 1873年4月5日 - 1956年1月6日)はフランスのシャンソン歌手、女優。本名はジャンヌ・ブルジョワ (Jeanne Bourgeois)。“ミス”という愛称で親しまれ、華麗な舞台と脚線美で「レヴューの女王」、「ミュージックホールの女王」と称賛された。」とのことなので、彼女の波乱万丈な一代記のようなミュージカルなのでしょうか。

プロデューサーは1789 Les Amants de la BastilleやRoi Soleil、Mozart l'Opera Rockでもプロデューサーを務めていたAlbert Cohenさん、ということで、華麗なフレンチミュージカルに期待。いつもは、Dove Attiaさんとタッグを組んでのプロデュースですが、今回はアルベールさんのソロプロジェクトの模様。

チケットも↓で発売中です(フランス語ですが)。20ユーロ~104ユーロまで席によって結構値段の幅があります。一番高い席は、パレデスポーで1789を見たときよりややお高め。やっぱり歴史ある建造物だからなのかもしれません。
http://www.ticketnet.fr/fr/manifestation/mistinguett-reine-des-annees-folles-billet/idmanif/307447

Albertさんのinterviewも載っていました(French)。なかなか興味深いです。
http://www.regardencoulisse.com/albert-cohen-fou-des-annees-folles/


このインタビューによると、パリが芸術、文化の都、中心地であった黄金の20年代(les années folles)を当時、その時代の象徴ともいえるミスタンゲットを通して描くことはアルベールさんにとって長年の夢だったそうです(実に10年越しのプロジェクトであったらしい。)。

ミュージカルの会場であるカジノ・ドゥ・パリはまさにミスタンゲットがレビューを行っていた会場そのものだそうで、今までアチア・コーエン組のホームベースとなっていたパレ・デ・スポーを離れたのは、まさに、この「20's glamour」をきちんと表現したかったからだそうです。とにかく20年代の自由奔放な雰囲気をそのまま表現したいとのことで、衣装の量も半端ないそうです笑。

アルベールさんによれば、20年代は最高にクリエイティブで、人々が考えられないようなことに次々と挑戦する「攻め」の時代(こうはアルベールさんは言ってないけど苦笑。)だった、ということで、そこに惹かれてミュージカルを作ることにしたそうです。また、当時はパリは世界に対して大変開かれていた時代で、アメリカのジャズなども入ってきた時代で、今回のミュージカルもエレクトロ・ポップ・ジャズのフュージョンといった感じになるそうです。

このインタビューを読んで、そうか、と思ったのですが、20年代というのは、実は第一次世界大戦のすぐあとの時代で、暗く凄惨な戦争を経たあとの反動のような時代だったわけで、だからこそ、"faire la fête(さあ、パーティー(お祭り)だ!)"といった、狂乱的というか、前衛的というか、そういった要素が全面に出ていた時代になったんだそうです。なんかそう考えるとちょっと興味深い。

劇中曲のメドレーのクリップ




Mon homme - Carmen Maria Vega 


ちなみにMistinguett自身が歌う"Mon homme"はこちら



先日パリでShowcaseがあったようです。そのときの映像。衣装が20's glamour満載できらびやかで粋。

Mon homme - Carmen Maria Vega
http://youtu.be/Lsq3QkFM088

Oser les larmes - Carmen Maria Vega
http://youtu.be/J4U1ASt3b7A

Dôle mambo - Fabian Richard
http://youtu.be/HG78oPd5tNc

Je cherche un millionnaire - Mathilde Ollivier & Cyril Romoli (piano)
http://youtu.be/uhlsLJHj5P8

Valse la chance - Patrice Maktav
http://youtu.be/wJ0S_q4TRDc

Grégory Benchenafi
http://youtu.be/34aS3j-CXpY

1789とはうってかわって 大人向けのフレンチ・シャンソンの王道っぽい曲が多い感じ。現代風にアレンジはされているけれど、客層は明らかに30+くらいを意識しているような気がします。でも最近のCohen & Attia組のミュージカルは若者向けが多かったので、個人的にはこれ、結構興味あるのですが、パリちょっと遠いんだよなあ。

公演のHPはこちら
http://www.mistinguett-lespectacle.fr/

Facebook
https://www.facebook.com/MistinguettOfficiel

CDも発売されています。
iTunes FRですが、曲を視聴することができます。
https://itunes.apple.com/fr/album/mistinguett-reine-des-annees/id877773116

Amazon frですが、コンセプト版のCDも購入できます。
http://www.amazon.fr/Mistinguett-Reine-Ann%C3%A9es-Folles-Carmen/dp/B00JXO8MHC

メインの出演者は下記のようです。Cyril Romoliさんは、1789でコメディアン(俳優)として登場していましたが、今回は歌手として登場するのかな。。。

Cyrilさんのインタビューもありました。
http://www.regardencoulisse.com/retour-aux-sources-pour-cyril-romoli/ 

Scipion Sauveur役のFabian Richardさんのインタビュー。 彼は、どうやら十戒の日本ツアーのメンバーだったようです(JosuéとAaron役。)。
http://www.regardencoulisse.com/fabian-richard-mafieux-heureux/

Carmen Maria Vega (Mistinguett)
Mathilde Ollivier (Marie)
Cyril Romoli (Jacques Charles)
Fabian Richard (Scipion Sauveur, "Pape de la Trinité")
Gregory Benchenafi (Harry Pilcer)
Patrice Maktav (Léon Volterra)

ちょっと楽しみ。

追記:08/31/14。いくつかミュージカルについての映像がUPされていたので以下に載せます。

衣装についてのミニドキュメント
20'sグラマーの衣装をどうやって作っていったか衣装担当のフレデリック・オリヴィエさんが語っています。
http://youtu.be/5KED9uJDZb0?list=PLslYUwNroa4xrG3UM1-X84KKmisxw-2xW

音楽についてのミニドキュメント
http://youtu.be/atEX0iwyUoQ?list=PLslYUwNroa4xrG3UM1-X84KKmisxw-2xW

台本についてのミニドキュメント
http://youtu.be/-sAxm_1f8-Y?list=PLslYUwNroa4xrG3UM1-X84KKmisxw-2xW

ダンスについてのミニドキュメント
http://youtu.be/PmTNErqLlPw?list=PLslYUwNroa4xrG3UM1-X84KKmisxw-2xW


舞台監督(のはず)のフランソワ・ショケさんによるインタビュー。


New Musical: Mistinguett, reine des années folles ~新作フレンチ・ミュージカル ミスタンゲット~

今年の9/18~来年の1/4までCasino de Parisで公演予定(そのあとフランスのツアー)のフレンチミュージカルMistinguettの話。

2014年は、大型のフレンチミュージカルがあまりなさそう、とかぼやいていた気がしますが、そういえば、実はこのミュージカルが今年上演でした(汗)。。。

Mistinguettは、Wiki情報によると、「ミスタンゲット(Mistinguett, 1873年4月5日 - 1956年1月6日)はフランスのシャンソン歌手、女優。本名はジャンヌ・ブルジョワ (Jeanne Bourgeois)。“ミス”という愛称で親しまれ、華麗な舞台と脚線美で「レヴューの女王」、「ミュージックホールの女王」と称賛された。」とのことなので、彼女の波乱万丈な一代記のようなミュージカルなのでしょうか。

プロデューサーは1789 Les Amants de la BastilleやRoi Soleil、Mozart l'Opera Rockでもプロデューサーを務めていたAlbert Cohenさん、ということで、華麗なフレンチミュージカルに期待。いつもは、Dove Attiaさんとタッグを組んでのプロデュースですが、今回はアルベールさんのソロプロジェクトの模様。

チケットも↓で発売中です(フランス語ですが)。20ユーロ~104ユーロまで席によって結構値段の幅があります。一番高い席は、パレデスポーで1789を見たときよりややお高め。やっぱり歴史ある建造物だからなのかもしれません。
http://www.ticketnet.fr/fr/manifestation/mistinguett-reine-des-annees-folles-billet/idmanif/307447

Albertさんのinterviewも載っていました(French)。なかなか興味深いです。
http://www.regardencoulisse.com/albert-cohen-fou-des-annees-folles/


このインタビューによると、パリが芸術、文化の都、中心地であった黄金の20年代(les années folles)を当時、その時代の象徴ともいえるミスタンゲットを通して描くことはアルベールさんにとって長年の夢だったそうです(実に10年越しのプロジェクトであったらしい。)。

ミュージカルの会場であるカジノ・ドゥ・パリはまさにミスタンゲットがレビューを行っていた会場そのものだそうで、今までアチア・コーエン組のホームベースとなっていたパレ・デ・スポーを離れたのは、まさに、この「20's glamour」をきちんと表現したかったからだそうです。とにかく20年代の自由奔放な雰囲気をそのまま表現したいとのことで、衣装の量も半端ないそうです笑。

アルベールさんによれば、20年代は最高にクリエイティブで、人々が考えられないようなことに次々と挑戦する「攻め」の時代(こうはアルベールさんは言ってないけど苦笑。)だった、ということで、そこに惹かれてミュージカルを作ることにしたそうです。また、当時はパリは世界に対して大変開かれていた時代で、アメリカのジャズなども入ってきた時代で、今回のミュージカルもエレクトロ・ポップ・ジャズのフュージョンといった感じになるそうです。

このインタビューを読んで、そうか、と思ったのですが、20年代というのは、実は第一次世界大戦のすぐあとの時代で、暗く凄惨な戦争を経たあとの反動のような時代だったわけで、だからこそ、"faire la fête(さあ、パーティー(お祭り)だ!)"といった、狂乱的というか、前衛的というか、そういった要素が全面に出ていた時代になったんだそうです。なんかそう考えるとちょっと興味深い。

Mon homme - Carmen Maria Vega 


ちなみにMistinguett自身が歌う"Mon homme"はこちら



先日パリでShowcaseがあったようです。そのときの映像。衣装が20's glamour満載できらびやかで粋。

Mon homme - Carmen Maria Vega
http://youtu.be/Lsq3QkFM088

Oser les larmes - Carmen Maria Vega
http://youtu.be/J4U1ASt3b7A

Dôle mambo - Fabian Richard
http://youtu.be/HG78oPd5tNc

Je cherche un millionnaire - Mathilde Ollivier & Cyril Romoli (piano)
http://youtu.be/uhlsLJHj5P8

Valse la chance - Patrice Maktav
http://youtu.be/wJ0S_q4TRDc

Grégory Benchenafi
http://youtu.be/34aS3j-CXpY

1789とはうってかわって 大人向けのフレンチ・シャンソンの王道っぽい曲が多い感じ。現代風にアレンジはされているけれど、客層は明らかに30+くらいを意識しているような気がします。でも最近のCohen & Attia組のミュージカルは若者向けが多かったので、個人的にはこれ、結構興味あるのですが、パリちょっと遠いんだよなあ。

公演のHPはこちら
http://www.mistinguett-lespectacle.fr/

Facebook
https://www.facebook.com/MistinguettOfficiel

CDも発売されています。
iTunes FRですが、曲を視聴することができます。
https://itunes.apple.com/fr/album/mistinguett-reine-des-annees/id877773116

Amazon frですが、コンセプト版のCDも購入できます。
http://www.amazon.fr/Mistinguett-Reine-Ann%C3%A9es-Folles-Carmen/dp/B00JXO8MHC

メインの出演者は下記のようです。Cyril Romoliさんは、1789でコメディアン(俳優)として登場していましたが、今回は歌手として登場するのかな。。。

Cyrilさんのインタビューもありました。
http://www.regardencoulisse.com/retour-aux-sources-pour-cyril-romoli/

Carmen Maria Vega (Mistinguett)
Mathilde Ollivier (Marie)
Cyril Romoli (Jacques Charles)
Fabian Richard (Scipion Sauveur, "Pape de la Trinité")
Gregory Benchenafi (Harry Pilcer)
Patrice Maktav (Léon Volterra)

ちょっと楽しみ。

2014年6月1日日曜日

Xavier Dolan - "Mommy" 25歳でケベックのグザヴィエ・ドランがカンヌで審査員賞を受賞

いつもはほとんど興味を持たないカンヌ映画祭だが、カンヌのニュースをちらちら見ていたら、ケベック出身のグザヴィエ・ドランが監督した"Mommy"がとっても話題、という記事を発見して、ちょっと興味を持つ。

グザヴィエ・ドランについては、10代の頃から映画を制作していて、すごく高い評価を受けている、ということは耳にしていたし、去年、フランス映画祭で確か彼の「Laurence Anyways(わたしはロランス)」が話題になっていたので、何となく認識はしていたものの、何だか色使いが派手だなと思って、自分が好きなジャンルではないだろう、と勝手に判断し、実は映像等はきちんと見たことがなかった。

でも、何となくやっぱり気になって、最新作"Mommy"の映像を見たところ、「おー!」と思わず叫んでしまった笑。インスタグラムみたいな1:1のアスペクトの映像の中に少年の瑞々しさがまさに閉じ込められている!!!美しい。お話としては、ADHDの少年とお母さんとの物語らしい。
→追記:2015/04/30 マミーを鑑賞しました→感想はこちら
Xavierのマミーに関する面白いインタビュー(音声/英語)→こちら。 マミーの背景を詳しく語ってくれています。


追記:最新のtrailerが公開に。




そして、Laurence Anywaysもちょっと気になってしまい、とりあえず、あらすじを読んでみると(基本ネタバレしてから映画を見るという世にも無作法な人間(苦笑)。)男性として生きてきた恋人がある日、自分は本当は女として生きたいんだ、と告白し、相手の女性は一度は拒絶しつつもそれを受け入れようとするというすごく複雑な愛の物語…。監督のグザヴィエ自身がゲイを公表していることもあって、「愛」といっても、実に様々な「愛」と愛に対するチャレンジが語られているらしい、ということを知る。

下記でリンクを貼付けたインタビューはLaurence Anywaysの頃のインタビューなのだが、グザヴィエは、この設定について(4:40あたり)、2人の主人公がこれまでの2人の愛を、ラベルや言葉を抜きにしてその愛を貫けるかということを観客に考えて欲しかったというようなことを言っている気がする。今まで男と女という「一般的」なごく普通の愛だったのに、突然、相手が、本当の自分の性は違う、でも、君を愛している、と言われるというのは、本当にchallengingだと思う。二人の人間の愛という意味では関係性は変わらないのかもしれないけれど、その周りにあるコンテクストはまさに一変する。実に興味深い話…。

後日、映画を実際に見てみたが、ストーリーも本当に面白かったし、2人のemotionが痛々しいまでに感じられて、まさに宣伝どおり"special"な愛の物語だった。そして、実際、男と女という「ラベル」が2人を最後まで苦しめるストーリーになっていた。。。特に、フレッド役のスザンヌの演技は心打たれるところが数々あって、ホロリとさせられた。

現実にはありえない色使いや映像が随所にあるのも、いつもの自分なら結構気になってしまうのだけれど、この映画ではそういったちょっとオーバー目なtheatricalな演出が逆に2人の痛々しいまでの感情を引き立たせていてすごく良かった。

「男」、「女」というラベルについてどう考えるか、そして、それを取り巻く愛、というのはこの映画のテーマの中心ではあるけれども、 同時に自分はこの映画は「本当の自分になりたい(彼の場合は女になりたい、という願い)」というある意味人間としての根源的な願いを叶えようとした一人の「人間」の奮闘物語という要素も結構ある気がした。女性の姿で職場である学校の廊下を堂々と闊歩するシーンは見ているこちらもスカッとする気がした。

DVDには特典映像として、グザヴィエ自身が編集段階でカットしてしまったシーンの解説DVDが別についているのだが、そこでどういう意図で数々の場面を撮っていたかがわかってなかなかこちらも面白かった(個人的にはカットしたシーンではなく、映画全編の解説をしてもらいたかった!)。

あと、ケベック独特の文化観というのも非常に興味深かった。わかりやすいところでは、随所に英語がスポット的に登場する。フランス語の映画なのだけれど、風景はフランスとは全く違って、近代的(もちろんフランスにも近代的な場所はあるとは思うんだけれど、やっぱり何かが違う。)で、とても新鮮な感覚の映画に自分には映った。

さて、グザヴィエ・ドラン、前述のとおり、ケベック出身ということで、もちろんフランス語が母語なわけだが、英語ももちろんぺらぺらなので、英語の番組には英語で話している。というわけで、英語のインタビューもちらちら見ていると、「あなたはケベック(orカナダ)の映画製作者ですか?」といったような質問をされているのを何度か見た。

たとえば、これ。5:40あたりで、司会者が"Do you identify as a Quebec film maker?"と聞いた後に(グザヴィエはもちろん、"Sure, yeah."と言っている。)では、Canadian film makerでは?と質問すると、苦笑するグザヴィエ。Sure、といったん言った後に、「いや、カナダに住んでるからカナダ人だとは思うけど、"No, well I define myself as a Canadian person, because I live in Canada. But I define myself as a Quebecois film maker  because my films are soaked with the Quebecois attitude and culture language and vocabulary and the history, so yes I define myself as a Quebecois film maker." と答えている。

つまり、自身の映画はケベック文化にものすごく影響を受けているので、自分はカナダ人ではあるけれど、ケベコワ映画製作者だと思う、ということを述べている。この辺りの受け答えから見ても、ケベックという土地が非常に微妙な立場にあるんだなということが伺える(伝統的にもちろん、独立指向が強い地域ではあるけれど、最近、ケベックであった選挙の争点の一つが確か独立指向かどうかみたいな話がになってこの話がまた再燃していたような気がする。)。と同時に、ケベックの人がその独自の文化に大きな誇りを持っていることも伺えるトークな気がする。 



カンヌのMommyのpress conferenceでも同様の質問が。
40:00あたりで、もしパルムドールを取ったら(結局こちらは取れなかったけど。)canadian victoryかそれともquebecois victoryか?というもっと意地悪な感じの質問をされている。
そして、このときも一同、「あー、またきたわねー。」みたいな笑いを浮かべている。
ケベックの人からするとこの手の質問は、もうclicheなのかも笑。

このときグザヴィエは、以下のように答えていて(合ってるといいけど)、
"whatever my political views are or my view points, I feel like my movie is very Quebecois but it would certainly be an international victory. [...] For me it's not about country or province or old dilemmas or wars that my generation don't associate with or relate with any more by the way, it would just be an extraordinary message to the people of my age and to my generation I see it as, I guess as a hope. And the movie is I would like to think it is; filled with hope. [...] trying to prove to people that they should express themselves no matter what their age is or so that would the way of seeing it rather than victory for a country, which would be great because it would be that would be [?] you know it would be part of our own national history and that would be great that is [?] and beautiful [...]"

要するに、映画はどこかの国とか地方とかの所有物ではない。この映画は、僕たちの世代へのちょっと変わったメッセージだと思う。そして、映画は希望であるべきで、年齢にかかわらず表現したいと思うことを表現すべきだ、ということを言っているんだと思う。政治的な配慮をした発言とも取ることができると思うけれど、自分としては、これはグザヴィエ自身の率直な思いなのではないかと思う。

(ちなみに、この質問を行ったちょっと意地悪な記者のMommyに関する記事はこちら(英語)。まあ、記者なのでこういう鋭い質問をするのは仕方ないことなのかも。)。

もう一つ、このインタビューで面白かった話が、グザヴィエの「タイタニック」に関する話。グザヴィエはタイタニックが大好きらしいのだが、インタビューでその理由を熱く語っている。

"True, so true. It's more than a thing, it's an obsession! When I was a kid and saw Titanic [...] it actually taught me "think big". [...] Someone calls her and says "can you tell me, alright you have all my attentions Rose, it's an actual quote, "[...] can you tell me who's the young woman on the drawing is, oh, on the picture is?"and she says: "Oh, the young woman on the picture is me" then the cut, to the chopper shot and the ocean and you're moving toward the boat and.. it's like a rhythm.. bang! you know, and no time to lose.. waste, sorry... it's just the sense of, notion of rhythm and story telling you know, American people are so good at telling stories and European cinemas are so focused often on doing cinema. And Americans are telling stories and do it well. And Titanic does that well."

冒頭のほうは、グザヴィエがフィーバーしているのがなかなか面白い(笑) 。
実際、グザヴィエは、8歳のとき、ディカプリオにファンレターを出していたらしい。
タイタニック5回見ました。とか、ぜひ共演したいです!と自分を売り込んでいるところがかわいい。と同時に、カナダではいっぱい映画が撮影されているんです(これは事実らしい)、とデータの裏付けを書いてあるところがなんかすごい。。。
http://www.lefigaro.fr/cinema/2014/05/27/03002-20140527ARTFIG00148-quand-xavier-dolan-8-ans-ecrivait-a-leonardo-di-caprio.php

そして、Mommyのコンフェレンスのときも、タイタニックについてちょっと触れている。

"I've also watched a lot of movies when I was a kid, maybe not movies the type of movies that you like (but) the type of the movies that kids like and there are many many codes out there that are very interesting, [...] there are a lot of craft to observe and learn from either because it's good or doesn't feel alright, but I think as a kid, I was fascinated with those codes and those rules. I don't know if I'm gonna talk about Titanic, I feel like we should... (laugh) When I saw Titanic, it dawned on me that there was an actual thinking in film making in order to [?] a moment when something should happen and a moment that should not music when... why... the costumes directing and also it was so ambitious that is sort of gave me the courage, maybe not the courage, but faith in crazy and ambitious ideas and I'm not afraid of that ambition that I'm not scared of people will not like it or will hate it or I don't fear that 'cause you mentioned fear; I have fears, I have the fears falling on those red steps, I have the fear stuttering when I shouldn't but I don't have a fear of telling a story and creating it with people that inspired me."

イメージとしては、映画監督というと、好きな映画は、と聞かれるとクラシックな著名な監督(映画に詳しくない自分からすると縁遠い映画笑。)の作品を挙げるイメージがあると思うが、 グザヴィエの場合は、割と最近の作品で、かつ大衆ヒット映画の代表格みたいなタイタニックを好きな映画として挙げているのがすごく新鮮だった。

しかし、その理由は、結構もっともなところがあり、Laurence Anywaysのクリップでもコンフェレンスのときも"think big" だったりambitiousであるべきだということを自分に教えてくれた作品だから、ということが述べられている。また、アメリカ映画はストーリーテリングに非常に優れていて、ヨーロッパ映画は「シネマ」を撮るということにフォーカスしていることが多いという指摘も結構個人的に面白かった。言われてみると確かにそうういうところあるかもという気がした。

Laurence Anywaysも、確かにヨーロッパ的な情緒のあるお話という部分もあるけれど、話の流れや組み立て方というところにすごく注意を払っている映画(そういう意味ではアメリカンな映画)だという気がしたので、そういう意味でもケベックというのはいろいろハイブリッドな感覚を持ち合わせた人たちなんだろうという気がする。

そして、クロージング(授賞式)で結果的にはパルムドールを逃したけれど、審査員賞を受賞したグザヴィエ。
受賞スピーチもまた、「僕たちの世代」についての感動的な話をしている。
男性では珍しく素直に感動の涙を流している点もなんだかすごく人間らしくて好感が持てる。


グザヴィエのスピーチは35:00辺り。フランス語と英語が混じったものになっている。

ここに掲載されている訳にもあるように、
"ce métier pour aimer et être aimé. C’est en quelque sorte la revanche des Amours imaginaires.(この仕事が、愛し、愛される仕事であることを実感しました。これはある意味『胸騒ぎの恋人』のリベンジなのです。)"という表現がすごく印象に残った。自分が振られてしまう役を演じていた映画に掛けている?ところもちょっと面白いんだけれど、愛し、愛されるという表現が、映画は作品そのものだけで存在するのではなく、見る人がいて初めて作品として存在するんだ、ということを改めて思い出させてくれる文章な気がした。

そして、若者へのメッセージ。上記に載せたコンフェレンスの話と被るところもけっこうあるけれど、最後のフランス語の部分が一番端的に彼の言いたいことを表しているように思う。

"En bref, je pense que tout est possible à qui rêve, ose, travaille et n'abandonne jamais. Et puisse ce prix en être la preuve la plus rayonnante" 
(文は、上記のフランス語版の全文スピーチより抜粋。)

英語だと
"In short, I think that anything is possible for those who dream, dare, work and never give up. And this award would be the most radiant proof."
こんな感じになると思うので、まさに、あきらめず、ambitionを持って取り組めば必ず何かを掴めるんだという若者から若者へのエールになっている。個人的にoser (dare)という単語を使っているところがグザヴィエらしいというか、若者らしいなと思った。思い切って~するというプラスの意味もあるけれど、ちょっと反逆的というかそういう意味合いもあるので、そういう意味でもちょっと粋な単語だと思った。

ここで重要なのは、若者と同世代であるグザヴィエが若者に向かってメッセージを発しているところだと思う。年上の世代が「若者よ、大志を抱け。」というのは、それはそれでいいけれど、やっぱり何となく上から目線というか、そういったところがあるけれど、同世代の人間が同世代に向かって夢は大きいほうがいい!と自信を持って言っているというのは、ものすごく大きな意味を持つように思う。

とりあえず同世代(ほぼ)の人間として、大きな拍手を送りたい。

*どうでもいいトリビア。
グザヴィエのお父さん(Manuel Tadros)は2002年のロミジュリ(ケベック版)に大公役として出ていたようで、ベンヴォーリオ役として出ていたMattやMattの奥さんはグザヴィエとも知り合いのようです笑。

彼は、グザヴィエの映画(J'ai tué ma mèreやLaurence Anyways)にも端役で登場しているようですが、なぜかどちらもアパートを見せて回る不動産エージェント役笑。グザヴィエのお父さんとお母さんはグザヴィエが幼い頃に離婚しているようですが、こんなところを見ても今は仲良しな親子のようですね。