2014年3月3日月曜日

French Musical Gala Concert @ Seoul Sejong Center

2014年2月27日、去年の5月に行われたのと同じ会場であるSejong Centerでフレンチミュージカルガラコンが行われました。開催の決定の発表も2月上旬でギリギリ、そして、公演数日前に出演者チェンジという何となく雲行きが超怪しい展開。

でも、飛行機や宿は押さえてしまっていたし、前回のソウルガラコンのときはろくに観光もせず日本に帰還してしまったので、まあガラコンが中止でもソウル観光を楽しもう、というスタンスで自分はいました。

というわけで、当然ながら主催者側もてんやわんやだったのか去年のガラコン以上に、取ってつけた感が否めない状況になっていました。本当は開催内容をブログに載せるかどうかもちょっと迷ったのですが、、、(結局載せても誰にとってもいいことがなさそうなので…。)でも、今回コンサートを見に行った者の一人として開催の記録&これからのガラコンについての建設的意見という観点からレポをしていきたいと思います。

こんなに重苦しいブログエントリーも珍しいわ。。。

さて、まず出演者から。

マットとロベールさんの出演がキャンセルになり、代わりに2001年のフランスのモガドール劇場での公演や2005、2006年のアジアツアーでフロロ役をしていたミシェル・パスカル(Michel Pascal)さん(2005年のNDPソウルライブ版のCDに入っててそれで辛うじて知っていた。モントリオール出身。)、1998年の初演時からカジモド役とフロロ役を務め、2013年の日本を含めたアジアツアーでもフロロ役の2ndだったジェロームさんが入りました。また、ちょっと詳細がよくわからないのですが、地元のリム・ジウンさんという歌手の方も参加されていました。

マットとロベールさんのキャンセルはまさに直前で、マットがFB上で発表したことによれば、「契約上の問題」とのことで、マットもいろいろ迷った末にキャンセルということになったようです(ロベールさんも恐らく同様の事情。)。

ショービズ界のことはよくわからないので、何とも言えないのですが、この二人が抜けるという時点で、このコンサートやるの??とそもそも私は思ったのですが、一応開催はするらしいという噂を聞き(チケットは現地調達予定だったので、自分はキャンセル料等の発生は特になかった。)まあ、とりあえず現地に行ってから行くかどうか決めようと思いソウルに旅立ちました。


今回は観光の予定もあったので、私は25日夜にソウルに到着し、26日は自由行動の日で、とりあえず様子見がてら、セジョンセンターに向かいました。

ほぼ9ヶ月ぶりのセジョンセンター(シアター)でしたが、ここでは本当にいろいろな思い出があるので、この建物を見たとたん、郷愁に駆られました。でも、ここには、リシャールも、マットも、ロベールさんもブリューノさんもいない、そう思ったら何とも切ない気持ちになりました。

会場に着いて辺りを見回しましたが、去年はあった会場前の街頭に吊るしてあった旗やポスターなどは一切ありませんでした。本当にやるのかよ。。。といぶかしく思いながらチケット売り場に行って、チラシの画像を見せて開催するのか確認すると、開催はする、と言われたので、せっかく来たし、ということでチケットは購入しましたが、最高ランクの必要はないと思い、ランクをいくつか落としたチケットを購入しました。席も、1列目の真ん中の席が残っていたり、かなり空席がありました。(出演者変更でキャンセルもけっこう出ていたのではないかという感じがしました。)

いろいろな場所を巡るほど切ない気持ちになった…。
そして、コンサート当日の27日。他のファンの知り合いの方とセジョンセンターの前で待ち合わせをし、近くのレストランで軽く食事をし会場に向かいました。会場に行くと、チケット引き換えの長蛇の列が。どうやら最安チケットのみディスカウントがあったようです。

まず、レポに入る前にとりあえずセットリストを書いておきます。

1.   Le temps des cathédrales (Cyril Nicolaï)
2.   Bohémienne (Nadia Bel)
3.   Bring him home (Comme un Homme) French Version (Michel Pascal)
4.   Dieu que le monde est injuste (Jérome Collet)
5.   Ma maison, c'est ta maison (Jérome Collet / Nadia Bel)
6.   Les rois du Monde (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Nadia Bel)
7.   I dream a dream (Ji eun Lim)
8.   Aimer (Cyril Nicolaï / Ji eun Lim)

〜休憩〜

9.    Florence (Michel Pascal / Cyril Nicolaï)  
10.  Les Oiseaux Qu'on Met en Cage (Jérome Collet / Nadia Bel)
11.  Tu vas me détruire (Michel Pascal) 
12.  Empty chairs at empty tables (Cyril Nicolaï)
13.  Belle (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Michel Pascal) 
14.  Vivre (Nadia Bel / Ji eun Lim) 
15.  Un matin tu dansais (Nadia Bel / Michel Pascal) 
16.  Libérés (Jérome Collet / Cyril Nicolaï / Nadia Bel / Ji eun Lim) 
17.  Lune (Cyril Nicolaï) 
18.  The Impossible Dream (Michel Pascal) 
19.  Danse mon Esmeralda (Jérome Collet) 
20.  Les rois du Monde (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Nadia Bel) 
21.  Le temps des cathédrales (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Michel Pascal / Nadia Bel / Ji eun Lim)

まず、全体評。

思ったことは、最終的に出演者交代等でバタバタしていたため、各自の練習もリハもおそらく十分ではなくとってつけた感が満載、かつミス多発、という感じでおよそ、ガラコンサートと銘打って行う公演とは思えないレベルでした。選曲も去年とそっくりで手抜き感が満載。

人によってはノートルダムに出ていた時期がかなり昔すぎていろいろ忘れちゃっていたり(特にミシェルさん)、調子が上がらなかったり(NDP曲でのシリル)、普段歌ったことのない歌を歌って動揺してしまっていたり(韓国の歌手の方、RJ曲でのジェロームさん)、トラブルがあったとはいえ…これは、まずいでしょう、というレベルでした。そして、レミゼの曲はかなり少なく、これって入れる意味あったのか?と思わず考えてしまいました。聞いてる感じだとほぼ、NDPガラコンサートといった感じでした。

あと去年のメンバーが最強すぎて(今回のメンバーと比較するのはかわいそうだけど…。)、ブリューノさんのLuneやカテドラル、ブリューノさんとロベールさんのスーパーコンビによるFlorenceなどと比較するとやっぱり見劣りするのは否めないといった感じでした。リシャールとマットもいたし…。

しかし、ナディアだけは、個人的にちゃんとしていた気がします。歌詞ももちろん間違えたりしなかったし、ちゃんと歌も美しく歌っていました(やっぱり彼女のボエミエンヌな歌い方かなり好きです。)。彼女だって、最後にNDPの公演に出演したのは、かなり前のはずなので、他のメンバーとそれほど違いはないと思うのですが…。

さて、個別レポ。
1.   Le temps des cathédrales (Cyril Nicolaï) 
出だしからつまづいたシリルですが、緊張していたのか、最後まで何となく伸びがありませんでした。最近、シンガポール公演に行って、リシャールのカテドラルを聞いていたというのもあった気がしますが。

2.   Bohémienne (Nadia Bel)
去年も良かったと思いましたが、今年も良かったです。やはりナディアのエスメラルダいいです。しかも、韓国版のCDよりやっぱり今のほうが素敵です。

3.   Bring him home (Comme un Homme) French Version (Michel Pascal)
ポッケに手を突っ込みながら現れたミシェルさん。個人的にはこれが頂けませんでした。かっこいいっていうよりだらしない。ですが、このBring him homeはそこまで嫌ではありませんでした。また、レミゼは基本英語で歌われるので、フレンチバージョンを聞くという意味ではなかなかいい機会でした。

4.   Dieu que le monde est injuste (Jérome Collet)
さて、ジェロームさん@カジモドを自分は初めて見た訳ですが、個人的にはフロロ役のときより彼の素のやさしい感じ(東京公演のとき最終日にお会いしたのですが、強面とは対照的にかなりジェントルマンな方だったのが印象的でした。)がカジモドに合っている気がしました。歌い方も個人の好き嫌いはあると思いますが、私は結構好きでした。

5.   Ma maison, c'est ta maison (Jérome Collet / Nadia Bel)
ナディアはやっぱりよかったです。デュエットも良かったですが、心揺さぶられる、という感じまではいかなかったかなあ。

6.   Les rois du Monde (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Nadia Bel)
人手不足過ぎたのか、ナディアをコーラス部分で駆り出すという荒技を繰り出していました。しかし、ジェロームさん、ベンボーリオとマキューシオを掛け持ちしてたのですが、これが音域的になかなかきつそうでした。シリルは、やはりこのナンバーはさすがに歌い慣れてる感じで歌っていました。

7.   I dream a dream (Ji eun Lim)
ここで、韓国の歌手の方が登場。割と歌い方はオペラな感じだったと思います。声もきれいだったと思いましたが、最後の方の歌い込むところはやっぱりちょっと物足りない感じがしました…。

8.   Aimer (Cyril Nicolaï / Ji eun Lim)
何と、ジュリエットが韓国歌手の方でした(ま、声質的には確かにこのかたの方がジュリエット寄りではありましたが。)。まさか韓国語で歌いだすのかと思ったら、この方フランス語でAimerを歌っていました。発音も悪くはなかったと思います(そういう人を選んできたのでしょうか。)。去年は、背後に聖歌隊がいましたが、今年は合奏だけでした。

ここまで30分くらいだったのですが、休憩になりました。若干呆気に取られてしまいました。。。そして、休憩後、私の右側にいた観客がごっそり消えていました。あとで、他の席に座っていたかたにも聞いてみたら、かなりの人が帰ってしまったらしいです。まあ、気持ちはわからなくないけど…。

さて、後半戦。ここからが長かった(苦笑)。

9.   Florence (Michel Pascal / Cyril Nicolaï)  
悪くはなかったですが、去年のブリューノさんとロベールさんのデュエットのハマり具合が素晴らしすぎて、どうしてもそのときの感動を思い返している自分がいました…。

10. Les Oiseaux Qu'on Met en Cage (Jérome Collet / Nadia Bel)
これは結構良かったと思います。これも私の好きなナンバーですが、結構理想型に近かった気がします。二人の仲良さそうな感じも好きでした。

11. Tu vas me détruire (Michel Pascal) 
ミシェルさんが出だしを間違えました。リズム感もなんだか悪かった気がします。そして、やたら演技に力が入っていました。そして、Tu vas me détruireと最後言うところでなぜか、ミシェルさん、絶叫していました。最後に思いを込めたい気持ちはとてもわかるんですが、この終わり方はちょっと変だと思いました。そういえば、オケも準備不足だったのか、ソロで結構派手に崩れていました。

12.  Empty chairs at empty tables (Cyril Nicolaï)
これも去年のガラコンのパクリ?(リシャールそういえば、マリウスやっていたねw)シリル、決して悪くはなかったですが、脳内再生がエディ・レッドメインになっていました(笑)。やっぱりレミゼ曲は、ちょっとオペラっぽい感じの声の方が似合う気がします。

13.  Belle (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Michel Pascal) 
ジェロームさんは良かった気がしますが、ミシェルさんは△、シリルは、高音がとってもきつそうでした(でも、シリル、フェビュスもやってたはずなんだけどなあ。)。

14.  Vivre (Nadia Bel / Ji eun Lim) 
なぜか、女性陣のデュエット曲になっていました。この曲こそエスメラルダのアイコン的曲なのでナディア一人で歌うべきだったと思うのですが…。韓国歌手の方の出番の問題があったのかもしれませんが、二人でユニゾンをするところ等、かなり聞き苦しいところがあったので、こういうマッチングミスはやめて欲しかったなあというのが正直なところでした。しかも、私が楽しみにしていたナディアの曲だっただけに本当に残念でした。

15.  Un matin tu dansais (Nadia Bel / Michel Pascal) 
前回のガラコンにはなかった曲。ガラコンで選ばれるのは珍しい感じのする曲な気がしました。フランス語なので、Je t'aime!を楽しみに聞いていたら、なんと、 サランヘヨに替え歌されていました(驚愕。それはダメでしょ…。)そして、観客のウケもイマイチでした。そして、彼、また歌い始め、派手に間違えました。さらに驚愕だったのが、最後のエスメラルダのVa-t'en, va-t'en, va-t'en, va-t'en... で本当に舞台袖にハケてしまいました。→物語改変(苦笑)。あ、これもナディアは良かったです。(ちょっとしつこい苦笑。)。

16.  Libérés (Jérome Collet / Cyril Nicolaï / Nadia Bel / Ji eun Lim) 
これが、一番みっともなかったです。誰かが、入りを間違えたか、歌いそびれがあったのか、かなりの長い時間、インストの音だけになりました。シリルが仕方なく「Libérés, libérés, libérés...」とちょっとやりにくそうに曲をつないでいました。歌手たちはみんな困ったように顔を見合わせていて、およそ本番とは思えない雰囲気でした。最後だけ盛り返してなんとかLibérés!と締めることができました。

17.  Lune (Cyril Nicolaï) 
この歌だけなぜかシリルがオケの中に入って歌っていました。悪くはなかったのですが、ちょっと久しぶり感が否めませんでした。これも最近リシャールのすてきなLuneを聞いちゃってたからかも(苦笑)。

18.  The Impossible Dream (Michel Pascal) 
Bring him homeをフランス語で歌っていたので、てっきりミシェルさんは英語が苦手なのかと思ったら、完璧なアメリカ英語で話し始めてびっくりしました。自分が韓国にツアーに来ていた2006年に生まれた娘さんが今回のコンサートに自分が出ると言ったとき、泣いて喜んだというとっても感動的な話をしていたのですが、今まで歌詞飛び等がすごかったので、残念ながら全く感動できませんでした…。ちなみに歌は英語&アカペラで熱唱していました。この曲がNDPのどの曲よりも堂に入っていらっしゃったと思います。なんだか本当に皮肉な感じ。

19.  Danse mon Esmeralda (Jérome Collet) 
歌はまま良かったのですが、最後のmourirの叫びが、絶唱になっていたのはいいのですが、絶唱しすぎてずっこけてしまいました…。ジェロームさん。

20.  Les rois du monde (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Nadia Bel) 
実はこれ、アンコールだったらしいのですが、なぜこの変なLes rois du Monde を繰り返すのだろう?と思ってしまいました。この編成やっぱり変です。そして、オリンピックの話をわざと持ち出して、滑っていたミシェルさん…。

21.   Le temps des cathédrales (Cyril Nicolaï / Jérome Collet / Michel Pascal / Nadia Bel / Ji eun Lim)
一応、最後に全員集まってお決まりのカテドラル。それはいいのですが、ジェロームさん、ちょっと音域ツラそうでした。終わりもあっさりしていて大歓声といったものもなく、恒例のみんなの写真撮影もなくほんとにさらりと終わって拍子抜けでした。

というわけで、以上レポでした。

公演の後に「残念会」をしました(笑)。

これだけだと完全に単なるケチ付けになってしまうので、最後にちょっとだけ建設的なことを書いて終わりにしたいと思います。

去年のVictor Hugo Gala Concertは見ている自分を夢のフレンチミュージカルの世界に誘ってくれました。あの思い出は本当に一生モノです。だから、こういった機会を作ってくれた韓国の企画者の方たちに対する感謝の気持ちは私もかなりあります。金銭的にフランスに気軽に行けるわけではないし、そういう意味でも、近場の韓国でそういう機会を作ってもらえるというのは、本当にラッキーなことだと思います。あと、日本ではなかなか招聘できない人たちを次々と呼び寄せることができる行動力は本当にすばらしいとは思います。(その手法にはひょっとしたらちょっと押しの強さ等があるのかもしれませんが…。)

ですが、その反面、今回のように、ちょっと強引な企画でもとりあえず通してしまえばいいというようなぞんざいな企画でコンサートを開いても、歌手も観客も主催者も誰も幸せにならない気がします。歌手の人たちだって、本当だったらもっと万全な状態できちんとコンサートに臨みたかっただろうし、(結局彼らの評判に泥を塗っただけになってる気がする…。)、あの立派なホールにとっても、あんな(といってはいけないけれど…。)微妙なコンサートを開いてしまったという汚点が残ってしまう訳で、主催者側としてもやっぱりそのプロデュース力に疑問符が付いてしまうんじゃないでしょうか??そして、もちろん観客も、このレベルだったら…と興ざめした気持ちになってしまいます。

自分が企画をしているわけではないので、大きなことは言えませんが、それでも、こういった夢を売る商売であるのなら、もっとお金だけではなくて、音楽だったりミュージカルの世界観といった面でも愛を感じられるような企画にしてほしい、というのを今回のコンサート見て自分は感じました。

とりあえず、今回のガラコンは、去年の思い出を引きずってばかりで、何だか公演を見れば見るほど悲しい気分になるというちょっとビターな気持ちだけが残る公演でした。

次回、こういう機会があったときには、もっと「愛」のある公演にしてほしいなあと思います。。。


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