2014年12月14日日曜日

パリ観劇録2014 vol.1 - Le Bal des vampires フランス版 ダンス・オブ・ヴァンパイア

さて、最近パリに2年ぶりの観劇遠征+αに行ってきました。いろいろあって準備不足のままでしたが、やはり現地で見る生のフレンチ・ミュージカルは良かったです。


今回の遠征では、"Le Bal des vampires"、"Mistinguett, Reine des Années Folles"のフレンチ・ミュージカル(ヴァンパイアの方は、ウィーン発なので、純粋なフレンチ・ミュージカルではありませんが。。。)&英語ですが、ブロードウェーの"An American in Paris"を見てきました。

というわけでとりあえず、最初にLe Bal des vampires(フランス版のダンス・オブ・ヴァンパイア)の観劇レポをしていきたいと思います。(→公式HPはこちら(フランス語)。youtubeページはこちら。Facebookページはこちら(フランス語)写真やプロモ映像が見れます。)。

もともと、このミュージカルは、見る予定がなかったのですが(オリジナルはウィーンのミュージカルだし、ヴァンパイアという時点で、きっとティーン&子ども向けミュージカルであろうと予想されたため。)、せっかくパリに行くし、演出が原作映画の「吸血鬼」の監督であるロマン・ポランスキー(自分の中では「戦場のピアニスト」のイメージが強いけど。)だと聞いたので、やっぱり見ようと思って見に行くことにしました。

そして、これ見に行って本当によかったです。。。確かに話の内容は、ああそうか、という感じですが(爆)、それ以外の要素が本当によくできたミュージカルで、まさに質の高いエンターテイメント。大人でも十分楽しめるミュージカルでした。

↓スポット映像↓
これ、何度もパリでコマーシャルをテレビで見ました笑。

会場になっていたモガドールの劇場。入口からVampire感が満載(笑)。
前回2年前、1789 Les Amants de la Bastilleを見にパリに初遠征したときは、会場がPalais des sportsだったため、いわゆる「劇場」という感じの場所ではありませんでした。。。が、今回行った場所は本当に「劇場」。入る前からテンションが上がりました。劇場も写真のとおりヴァンパイア仕様で、劇場の柱には、劇中の写真も飾られていて、面白かったです。

会場となっているモガドールは今回のLe Bal des vampiresのプロダクションも手掛けている大手プロダクションStage Entertainment(フランスオリジナルではなくマンマミーア、ライオンキング、美女と野獣等、ブロードウェーやウェストエンド等の外国から輸入したミュージカルをよく上演している。)の劇場ということで、隣には Stage Entertainmentの事務所っぽい建物もありました。

ここは、昔ノートルダム・ド・パリが再演されたときに使われていた劇場でもある(リシャールもフェビュス役で出ていたはず。)ので、そういう意味でもちょっと楽しみな劇場でした。

そして、中へ。
ロビーはこんな感じ。
自分は開始30分前くらいに到着しましたが、既に人で混雑していました。とりあえず、劇場の写真を撮り、パンフ(programme)を購入。15ユーロくらいでした。前回も驚いたんですが、パンフにやたらと力が入っている。。。値段もそれなりにしますが、しっかりした冊子だし、内容も充実。Le Bal des vampiresは、写真メインのものと配役やプロダクション関連のことがメインに書かれた2冊組でした。。。

そして、客席に向かいました。こちらから聞かなくても、案内係の人がこちらのドア、こちらの通路を行け等、指示してくれます。自分は、既にネットで席を選んでチケットを購入しているのでだいたいの位置は把握していましたが、一応、チケット(っていうかPDFを紙に印刷しただけ笑。)を見せて、場所を教えてもらいました。ただ、意外と早口(まあ、外人が見るっていう発想がそもそもそんなにないってこともあるんですが。)なので、全部はきちんと聞き取れませんでした。。。

中に入ると既にそこはVampireの世界。紫色の光で客席が照らされており、幕にはVampireマークが。おー、とまたテンションが上がります。今回の席は前から4列目くらいの左から2番目の席。値段は42ユーロぐらいでした(日本だったら確実にS席とかで1万円くらいする席な気がします。)。確かに真ん前から見る感じではなくなるので視界が若干歪んだり、幕に写される3D映像が見にくくなるというデメリットはありますが、自分はそれほど気になりませんでした。むしろ、出演者が左側に来るとかなり間近に見れるので、個人的には、コスパがかなりいい席だと思っていました笑。

ドアの向こうは別世界。
今回、ウィーンのオリジナル版の映像等は敢えて見なかったので、劇としてはかなりまっさらな状況で臨みました(昨年、東京で行われたウィーンミューガラコンで数曲このミュージカルからのナンバーがあったので、それを見たくらい。日本版も見ていません苦笑。)。ただ、フランス語の台詞が追えないことは目に見えていたので、話の筋だけはWiki(英語)で確認しておきました。

客層は、この日が土曜の昼ということもあってか、親子連れやカップルが大半でした。自分の隣の席の観客も後ろの観客も親子連れでしたが、隣のお母さん、子ども3人にご飯を劇場で食べさせていて、なんだかちょっと大変そうでした笑。後ろの親子は、どうやら子どもの方は既にこのミュージカルを観劇していたらしく、ママに「この間はあそこで見てたのー、すごくよかったー。」とほのぼのとした会話をしていました。

この公演、火曜から日曜(土曜は2公演)までやっているので、誰かが代役でもおかしくないなと思ったのですが、この日はChagal役が代役の方でした。

伝統ある劇場ってやっぱりいいと思った瞬間。
開演前に、携帯、劇中撮影禁止、等々(確かそんな感じ。)の注意事項のアナウンスが流れたのですが、クロロック伯爵役のステファヌ・メトロさんの声でした笑。2012年に見たロミジュリぶりなので、何だかとっても懐かしい。

"Cette nuit restera éternelle"より。
メトロさん@クロロック伯爵。
高貴なスノッブな感じの伯爵、お似合いでした。
そういえば、 突如、サビで、"forever"や"total eclipse de mon cœur"と聞こえて、
「え?英語?!」と混乱したのですが、聞き間違いでした笑。
正しくは、" faux rêveurs" と" tu fais s'éclipser mon cœur"のようです。
でも、youtubeのコメントでも、これ変じゃない?と言っている人がいたくらい 
なので、フランス人にとっても意外とわかりにくいのかも?!

さて、定刻から15分ほど過ぎて開演しました。オケも生演奏で華々しく幕が開く、ではなく、幕に3DでVampiresたちが住む城を駆け巡るような映像が流れ、非常に臨場感がありました。こういったところが、やはり最新のテクノロジーを使った最近のミュージカルだなあと思いました。

そして、最初に出てきたのはAlfred。"Professeur! Professeur!" と叫びながら雪山の中、Professeur Abronsiusを探します。2年ぶりのフランス語の舞台。なんだかうれしかったです。登場人物の名前ですが、名前はそのままですが、読み方はやはりフランス語読みでした。伯爵の息子Herbertは、なので、エルベールでした。

Alfred役のDaniele Carta Mantigliaくんもそうですが、このミュージカルの出演者たち、アンサンブルも含めてすごく歌が上手かったです。2年前の1789もみんな歌うまいと思ったのですが、どちらかというとミュージカルというより普通に歌を歌う歌手としてうまいという感じでした。が、今回の歌手たちは、ミュージカル歌手として歌が上手いという感じで、合唱のハーモニーとかも素晴らしかったです。

加えて、歌がすばらしかったのは、やはり、原曲の音楽のすばらしも大きかったと思います。特に個人的には、Alfredが歌うバラード"Pour Sarah"やSarahとのデュエットの"Le Grand Air"とかかなり好きでした。

https://youtu.be/cSffW0-vjSk 
ダニエルくんの"Pour Sarah"。Sarahへの一途な想いが伝わってきて、なかなか良かったです。君のためなら、なんだってがんばるよ、みたいな感じがほんと純情すぎて、かわいい。 

https://youtu.be/AvvpgjHhVOE
ラ ファエルちゃんの"Le grand Air"。これもなかなかよかった。 声が伸びやかで、外の世界に私は出て行きたいのというテーマや曲の壮大さがよく出ていました。タイトル、オリジナルのドイツ語のタイトル(Draußen Ist Freiheit)が半分カットされちゃってますが。 


客席はこんな感じでした。
ダンサーと歌手がぱっきり分かれているのがフレンチミューの特徴とよく言われていますが、このミュージカルは、比較的歌って踊って、というタイプのミュージカルでした。

もちろん、ダンスが見せ場の部分で歌なしで激しいダンスのシーンもあり、振り付けもすごく良かったです。Vampireらしく、ゴッシーな感じが全面に出たダンスもありましたが、リフトを多用したアクロバティックなダンスもあり、見応え十分でした。ダンサーたちもダンスにキレがあって、すばらしかったです。SarahとAlfredの分身ダンサーが登場するのですが、そういえば、Alfred役のダンサーはやたら美形でした笑。

"Longue est la nuit"
このシーン、全体を通して一番の見せ場のシーンだったと思います。
ゴッシーなダンスの魅力全開(笑)
いくつもの棺からガバガバっとVampireたちが出てきて、
一同に会してダンスをするのですが、迫力ありました!

セットもかなりすごかったです。AlfredとProfesseur Abronsiusが泊まるChagalの宿のセットは2階建てで、かなり大掛かりなものでしたが、回転したり、いろいろ凝っていました。伯爵のお城、舞踏会の大広間のセットもすごかったです。

"De l'ail!"(ニンニク)より。見づらいですが、背景に映っている大きな建物が
途中で回転するなどの演出があります。


衣装やメイクも、ゴシックさを出すためにもちろん汚れ加工/メイクを皆さんしているわけですが、それにもかかわらず、美しさがあるというか、この辺はさすがフランスだなあと思いました。特にSarahの舞踏会の赤いガウンは美しかったです。

"La Salle de Bal" 
舞踏会。華麗でした。衣装、メイクどれも個性的で、
準備とか大変そうだなあと見ながら思っていました笑。

Sarahの入浴シーンですが、お色気要素はちゃんと盛り込まれていました笑。が、観客には子どもたちもたくさんいるからか、思ったほどあからさまではありませんでした。が、一瞬ヌード?と遠目には見えるようなドッキリな瞬間もありました(もちろん肌色のボディースーツをSarah役の人は着てます笑。)。

また、劇場の四方のドアから扮装したVampireたちが出てきて歌ったり(子どもたち大喜び。)、出演者たちが客席を走る演出も結構たくさんありました。

そういえば、Vampireたちが人間にガブリと噛み付くシーンですが、血糊がテープ?なのか固定されている感じでした。噛み付くところもそんなにガブリという感じではなくお上品だった気がします。

メトロさん@クロロック伯爵が、ガブリとサラにかぶりつくシーンはこちら。

終演後はこのように元の劇場に戻ります。
こうして見るとさらに劇場の素晴らしさがよくわかります。
終演後の客席の様子。

というわけで、Le Bal des vampires に大満足してモガドールを後にしました。
台詞は割とはっきり目で舞台仕様な話し方だったので、わかるところもまあまあありましたが、やはり、修行が足らず、わからないところも結構あった、、、という感じでした汗。また、がんばろう。。。

台詞と歌の割合は、かなり歌の方が多かったように感じました。というわけで、フランス語があまりわからなくてもいろいろなエフェクト等もあるので、十分楽しめる演目だと思います。


 "La crypte"
台詞シーン。これぐらいの速さでした。
Alfredのひ弱ぶりがコミカルです。

近くにはトリニティ教会も。
全体としては、やはりすごくお金が掛かった大がかりなミュージカルだな、と思いました。普通こういう風に言うとあまりいい意味にはならない=お金は掛かっているけど、中身はね、、、といった意味になりがちですが、このミュージカルは、お金や最新技術を本当に有効に使っていると思います。ちゃんとお金を掛けて、エンターテイメントとして最高のものを目指しているという意味で、本当にVampireプロダクションチームにはBravo!を贈りたいです。

さて、パンフですが、気合入ってました(フランスって割りとパンフ力入れてる気がします。。。)。2冊組み。まずVol 1。Vampireの歯形マークの表紙が印象的。こちらは主に舞台写真がメインのものでした。舞台監督のポランスキーへのインタビューも収録されてました。Vol2は、。配役がびっしり書いてありました笑。プロダクション関係のこともこちらに書いてありました。代役も主役級だと、トリプルキャストとかです。これだけ見ていても、すごい大きなプロダクションの舞台なのだなということがわかります。

Alfred (Daniele Carta Mantiglia) & Sarah (Rafaëlle Cohen)のお二人は、どちらも美男美女で歌も上手かったです。Sarah役のラファエルちゃんは、過保護な親から離れて外の世界を見てみたいというちょっと冒険心を持った少女の気持ちをよく表現していたと思います。そして、Alfredに見せる、乙女な眼差しがとってもキュートでした。Alfred役のDanieleくんは、イタリア人で、ノートル・ダム・ド・パリでエスメラルダ役で来日したアレッサンドラとロミジュリで共演していたみたいです。いろいろつながりがあるのねー。バンパイアたちに杭を打つのに躊躇したり、ちょっとひ弱な青年笑を上手く演じていました。

以上、Le Bal des vampires レポでした。

次は、Mistinguettについて書きたいのですが、こちら、Le Bal des vampires とはあらゆる面で、真逆で違った意味で楽しめました。しかし、こっちは、あらすじとか詳しいものはどこにもないので、あまり詳しいことが書けない予感(汗)。→(Mistinguettについてはこちら。)

À suivre...

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