2013年12月24日火曜日

NDP tournée Singapour (J-2) ~シンガポールNDP公演(2日目)~

Quel bonheur... ~幸せな時間~

この日は元々押さえていた最前列からの鑑賞。最前列といっても、真ん中にはせず敢えてグランゴワールが目の前にくるはずのちょっと左寄りの席をゲット。東京公演では叶えられることができなかった夢のような最前列席。ここからリシャールが見れるの?と思うとテンションが上がる。
だが、1日前の悪夢のような音声トラブルのことがあったので、若干その辺は不安に思っていた。
この日は、外は昨日とは打って変わって大雨。レミゼではないが、恵みの雨となるか?



セットがとにかく近い。グランゴワールのスタンばる木の箱も
目の前に!

この日は前日とうって変わって雷雨。
 
そして、舞台が昨日のようにあっさりと始まる。最前列は照明が落ちていても基本的に何でも見えてしまうので、グランゴワール登場シーンも当然、リシャールが入ってくるのが見えた(後ろの席からだと突然グランゴワールが現われてって感じに見えるけど。)。すたすた入ってくるリシャール。入りはけっこう普通なのね。。。

そして、ライトが彼にあたる。いた。リシャールだ。
これは自分だけなのかもしれないが、真ん中ぐらいの席に座っていると、劇を「見ている」という気分にはなってもその世界に「入り込む」(フランス語だとvivreって感じだろうか。)っていう感覚にはなれない。だが最前列はまさにライブで、私の目の前でリシャールが歌を歌っている、という感じがした。

そして、最前列にきて初めてわかったのが、衣装とメイクのディテール。グランゴワールのパンツがパッチワークになっているのは知っていたが、生地が思っていた以上に厚く、カジモドのスーツと同じような生地でできていた。グランゴワールのメイクは青のアイシャドーは入っているもののそこまでケバケバしいメイクではない。

そういえば、グランゴワールとフルールドリスのウィッグが新調されていた。リシャールの方はよりエアリーな感じになって、ダンスとか踊っているときも軽やかに髪がなびいていた。エリシアの方は、以前のプラチナブロンドで帽子かぶっちゃったみたいなウィッグからナチュラルブロンドの自然な雰囲気のウィッグに改良。こちらも不自然さは大分改善された。

1列目なので、もちろんリシャールとは目線は合わないが、細かな表情の変化もよく見て取れた。声も、1日前のプレミアよりよくなっているような気がした。(まあ、彼はわりとコンスタントに歌を歌える歌手ではあるんだけど…。)

この日の配役。
カジモド… Matt Laurent
グランゴワール… Richard Charest
フロロ… Robert Marien
フェビュス… Alberto Mangia Vinci → たぶん、この日も2ndの Luca Marconiさんだった…。長髪フェビュス。
エスメラルダ … Myriam Brousseau
クロパン… Angelo Del Vecchio
フルールドリス … Elicia MacKenzie

というわけで、エスメラルダとクロパンは2ndのミリアムとアンジェロ。この日イアンは風邪を引いていたらしい。2日目にして、2ndが二人(追記→いや実は3人だったっぽい。)は多いなあと思ったが、そういう事情だったのだとあとでわかった。実は、自分は東京でアンジェロとミリアムの演技を見たことがなかった。Youtube上に流れていた映像を見ていて、2人がかなり歌がうまいのは知っていたので、二人を見れなかったことを残念に思っていたのだが、今回、偶然にもその願いが叶った。

なので、Les Sans-papiers は、今回は、アンジェロによる演技。アンジェロって体格がわりといいので、まさに「兄貴」って感じがする。歌声は、ライブも映像と同様に美しいoperaticな声だったが自分的に、アンジェロの声は、クロパンではなくカジモドで聞きたかったかも。個人的には、クロパンは、ジプシーのrebeliousな感じが強く出ているイアンの方が好みな気がした。

そして、Bohémienneでミリアム登場。確か、シンガポール公演は、キャストのボードのようなものはなかったので(自分が気づいてなかっただけか?)、歌手が登場して初めて誰が今日出演するのかわかる、というような状況だった。

Bohémienneの冒頭、また数小節、歌手のマイクの音が消えた。悪夢再びかと思ったが、数小節で復活し、その後音切れがすることはなかった。でも、マイクがないと、2、3メートル離れているだけでも歌手の声はほとんど聞こえなかった。

ミリアムのエスメラルダは美しかった。かわいいというより、美女という感じ。かつ、声がすごくきれい。ただ、エスメラルダにしてはちょっと声がきれいすぎな気がしなくもなかった。フルールドリスはすごくお似合いだったんじゃないかなという気がした。でも、いずれにしてもBelleであることには変わりはない。

そして、ダンサー、アクロバットたちについて。実は、後で知ったのだが、この日はプレスデーだったらしく、実はみんな張り切って演技をしていた模様。前日、ダンサーたちは音がボロボロな中でもすごくよかったと思ったけど、やはりこの日の方が、みんな演じきっているというか、力を出し切って演技をしている感じがした。


 
ダンサー、アクロバットの人たち(シンガポールは撮影不可だったので、
写真は東京公演のもの)。彼らがいなければ、この劇は成り立たない。
そのわりに、歌手たちに比べて、あんまり光が当たらないのがちょっとかわいそうだなと思う。 

また、1列目からの観劇ということで迫力がすごかった。振りも細かなところまでよく見えた。特に、1列に並んで舞台のせりまでいっせいに迫ってくる場面などは、目の前にダンサーたちがくるので、彼らの気迫をビシバシ感じた。そして、後ろの席ではわからなかった、ダンサーたちの表情などの演技がすごく良かった。Les Sans-papiers などの、refugeeたちのdesperateな感じの表情は鬼気迫るものがあったし、La Cour des miracles のようなここぞジプシー天下みたいなところでは、彼らのジプシーとしての誇りを感じた。

また、ダンサーたちの衣装やメイクも興味深かった(結構洋服とかを見るのも好きなので。)。遠くから見ると単なるボロボロ服(苦笑)と思っていたLes Sans-papiers の服も近くで見ると、実はけっこうこまかくデザインされている服で、メイクもそれぞれダンサーたちで違っていて見ていて面白かった。ヘアピースもどうやってつけているのかとかもわかったし、そういうのを見ているだけでもおもしろかった。

もう一つ1列目で気づいたのが、かなり大きな声でダンサーたちが叫んでいたこと。意外と後ろの席では気づかなかったが、かなり大きな声でダンサーは叫びながら演技している。(うしろの席でも聞こえることは聞こえるけど、ワー、ワー言ってるぐらいにしか感じなかった。)この声が聞こえているのと聞こえていないのとでは、だいぶ、舞台のライブ感が違う気がした。

Le mot Phœbus。リシャールが本当に目の前で歌う瞬間は何度かあったけど、はっきりこの曲のときは目の前にいたのを覚えている。 布団の上で仲良く二人で歌うこのシーン、目の前で聞くと、本当にかわいらしいカップルだった。そして、すごすごと去るリシャール。思わず微笑んでしまう。

そして、Déchiréリベンジ。今回は、ちゃんと全部歌が聞こえた。よかった、よかった。やっぱり歌があってこそ、あのダンスと走り回るのが意味をなす。そして、アルベルトルカさん、高音がときどき伸び損ねているところがあったけれど(La volupté とか。)、全体的には、emotionalでキレイな声のフェビュスだったと思う。(自分の中では、明るい高音が光っていたYvanのイメージが強いから、比較してしまうけど…。)
みんな拍手(笑)。

Belle。初日に引き続き、また、ハモりの部分でフェビュスがメインパートになっていた。ここは見せ場なので、ちゃんとしてほしかった。(たぶんのちのち調整していったとは思うけど。)

Tu vas me détruire 。東京公演で、舞台に一番近い席に座っていた時、残念ながらロベールさんは、オフで、1月のミニライブ以来楽しみにしていた至近距離のロベール・フロロが見れず、かなりがっかりした。というわけで、今回1列目でロベール・フロロを堪能することができ、すごくうれしかった。

ロベールさんは歌唱力が抜群であるのはいわずもがなだけれど、演技も素晴らしいと今回改めて感じた。特に至近距離で見ていると、フロロの苦悩、弱さ、冷徹さ、といった様々な感情が手に取るように感じられた。そして、ロベールさんのフロロだけは、あんなに邪悪なキャラ設定なのに、どうしても嫌いになれない。彼の演じるフロロはただただ哀しい。人間の「弱さ」全体が彼というキャラクターを通して表現されているような気がした。

というわけで、2日目は細かなトラブルはあったものの、わりとつつがなく第一部が終了。
Fatalité の"Oh destiny~"の音楽が流れたときは正直ほっとした。
そして、曲が終わった直後にスタッフがベッドを回収に来ていたのがちょっと面白かった(隣の人も笑っていた。)。


1列目からだと舞台袖が丸見えでした…。
なんだか舞台袖のシンガー達は楽しそうでした。
 

第二部。
1日目に横倒しになっていた光は、一応直っていた。

Les cloches 。一番前の席だとちょうど鐘は真上ぐらいになってしまって、微妙かなと思ったら、逆にアクロがよく見えて、ものすごく面白かった。こうやって演技していたんだーと発見がいっぱいだった(アクロの人たちの鐘の中での動きもよく見える。)。そして迫力も◎。この席本当によいと思った瞬間だった。

Où est-elle? フロロ、グランゴワール、クロパンが並んで最後にユニゾンになるところが美しいこの歌。私の前はちょうどロベールさんで、でもリシャールもすてきで目が右、左と忙しかった(笑)。

Les oiseaux qu'on met en cage。カジモドのナンバーで実は一番好きなのがこれだったりする。歌詞も好きだし、エスメラルダとのデュエットがたまらない。ミリアムの美しい声とマットとのハモりは最高だった。マットがブロックの高いところにいるので見づらいかと思ったがこれもそれほど違和感なく鑑賞できた。

Condamnés。ダンスがとってもよかった。前述のように、ダンサーたちの表情がこの歌もとっても良かった。なんで、俺たちはいつも追い出されなきゃいけないんだよ、という想いがひしひしと伝わってきた。

ちょっと前になるけれど、フランスでは、ジプシー(ロマ)はフランス社会と相容れないみたいな内相の発言が問題になったり、ロマの子が校外学習中にほかの生徒がいる前で強制送還されるために連れて行かれるという事件があったりしたので、この歌は、まさに現在の事象とリンクしているんだよなあと考えてしまった。

内相であるManuel Valls の「ロマは国に戻るべき」発言についての記事
http://newclassic.jp/archives/945

強制送還の事件の記事
http://www.afpbb.com/articles/-/3001793


Être prêtre et aimer une femme。これも、フロロのナンバーの中で好きな曲。神父である自分と男としての自分に苦悩するフロロbyロベールさんが何とも哀しい。そして、1列目に座って初めて気づいたのが、この歌とLa torture の間で舞台が暗転する間にロベールさんがガウンを投げ捨てていたこと笑。早着替えとはちょっと違うけど、そっか、そうだったのか、と思った。ここで、ガウンを着た表のフロロとガウンを脱いだ素のフロロが対比されているわけね、と本当に今さら気づく。

Libérés。これも、好きなナンバーの一つ。英語がFree todayという若干イケてない訳になっているのは嫌いだけど、ダンサーたちの喜びに満ち溢れた顔が本当に良かった。最後に舞台ギリギリまで歌手、ダンサーが1列に並んで、こぶしをあげて、「Free today!」と叫んで迫ってくるシーンは本当に迫力があった。あと、ダンサーたちもマイクは入ってないけど、歌を歌っていることにこのときはじめて気づいた。

Lune。真ん前ではなかったけど、リシャールが目の前でLuneを歌ってくれるというのは、なかなか素晴らしかった。リシャールってやっぱり声量あるよね、と納得。これがフランス語で聞けたらなあ。

Vivre。この曲もエスメラルダが高いところに立って、歌を歌うので、見にくいかと思いきやそこまででもなかった。むしろ、エスメラルダを仰ぎ見ることになるので、エスメラルダ(ミリアム)が神々しく感じた。ミリアムの美しい声が光っていた。

L'attaque de Notre-Dame。これは、最前列から見て一番面白かったシーンかも。このシーンはローラーがついた柵を多用した演出が特徴的だけれど、ダンサーやアクロバットの人たちがギャーと叫びながら戦うダンスをしたり、車輪がガシャンとぶつかる音など、とにかく迫力があった。

Danse mon Esmeralda。何と本当に目の前で、マットがこの歌を歌った。。。実は、私自身はこの歌がカジモドの歌で一番好きと言うわけではないけど、最後に「for you~」といってバタっと倒れるシーンが目の前だったのは、ちょっと感動的だった。いい思い出。

そして、フィナーレのカテドラル。今回は、初日のような大きなトラブルが起きることなく、終了。
ちょっとほっとした。

カーテンコールのとき、何度かロベールさんと目が合った気がした。何となく恥ずかしかったけど、思わず微笑み返してしまった。リシャールとも目を合わせようと思えば合わせられる瞬間は何度かあったけど、さすがにこれはちょっとシャイな自分には無理だった苦笑。

というわけで、最前列鑑賞を大いに楽しんでしまった。
本当に満足した観劇だった。

その後、うまくいくかほぼ賭けに近い出待ちに出発…。

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出待ちについての記事はこちら

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