2013年12月8日日曜日

Rimbaud Musical ~ランボー・ミュージカル~

前回のリシャール記事からの続き…。

2014年2月にリシャールからのインタビューで得た情報を元に部分的にアップデートしました。
インタビューの記事はこちら

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Richardが友人のArnaud Kerane (アルノー・ケラン)さんと一緒にproductionから関わっているミュージカルRimbaud Musicalについて、わかる範囲内での情報をまとめておきます。

2007年の公演時の様子。
左から Jonatan Cerrada(ランボー役)、Richard Charest(ヴェルレーヌ役)、
Lucie Bernardoni(マチルド役)、Pablo Villafranca(イザンバール役)、
Pascal LaFa(ドラエー役)、 Sophie Delmas(ヴィタリー役)。


RIMBAUD (UN POÈTE EN PLEIN COEUR) / Spectacle Musical(仮題)

Richardが友人のArnaud Kerane (アルノー・ケラン)さんと一緒にプロダクション段階から関わっているミュージカルです。タイトルですが、まだ本決まりではないようです。(2014年2月現在)

2007年-2008年にパリで公演(リシャール本人もランボーと恋愛関係にあったヴェルレーヌ役で出演。)。2014年または2015年にアジア等で公演予定。現在、台湾、中国、韓国、日本、シンガポール、ロシアで交渉中のようです(リシャール談)。

歌詞はアルノーさんとリシャールで担当していて、曲のほうはリシャールが担当のようです。あと、出演者の人選やら、創作活動以外のことは、どうやらリシャールが主にやってるようです。


アルノーさんとリシャールがランボーの出身地である
シャルルヴィルを巡りながら、ミュージカルについて語る映像。
前半、アルノーさんがなぜランボーについてのミュージカルを作ったか、等
話していて、後半リシャールが登場人物について解説しています。

この映像の英語のスクリプトが載っているブログを見つけた(こちら)ので、原文で見たい方はこちらでご覧ください。

私自身は、2007年-2008年の公演を実際に見ているわけではないのですが、リシャールによれば、タイトルが示す通り、著名なフランスの詩人であるアルチュール・ランボーの半生を追ったミュージカルだそうです。

ミュージカルができるまで

自分は、リシャールのファンだったことから、このミュージカルをそもそも知ったのですが、上記のとおり、このミュージカルは、リシャールとアルノーさんの2人によって共同制作された作品です。

ここからは、下記に載せているRimbaudのミュージカルのHPの「La genèse du spectacle(ミュージカルの始まり)」のコーナーからの要約です。一部、2014年2月に答えてもらったリシャールのインタビューと内容が重複する部分がありますが、それも含めてまとめています。

全文(フランス語)は↓で見れます。長い&フランス語ですがかなり面白いです。
http://rimbaudmusical.free.fr/site/?page_id=29

リシャール自身がランボーの作品に初めて出会ったのは、1995年にケベックのラヴァル大学で「谷間に眠る男(Dormeur du Val→日本語のわかりやすい説明はこちら)」についての詩作のワークショップを行ったとき、だそうです(リシャールって大学行ってたんだ。。。と素朴に思った私。フレンチミュージカルの歌手って、10代とかでデビューしてる人も多いので、ちょっと意外でした。)

で、アルノーさんとリシャールとの出会いですが、1999年にVoix du Sudという団体(フランス語圏の若手の作曲家、作詞家、パーフォーマーを支援する団体のようです。)のRencontres d'Astaffortという集会(?多分、若手の作曲家、作詞家、パーフォーマーが集まって、一緒に作詞、作曲等の共同作業をする大会のようなもののような気がします。。。)に二人が選ばれたということがきっかけのようです。ちなみにアルノーさんはフランスの方です。

で、そこでリシャールがアルノーさんが書いたランボーの母であるヴィタリーについて書いた詞をすごく気に入って、アルノーさんもランボーが大好きだった、ということで、お互い意気投合したようです。

その後、2004年にリシャールが、アルノーさんに、ランボーについてのミュージカル、しかも、単なるミュージカルではなくて、野心や暴力といった普遍的なテーマについてのミュージカルを一緒に作らないかと提案。アルノーさんは事の重大さに一瞬迷ったようですが、、、結局リシャールの熱意に押されて、ではやろうということになったみたいです。

その後ランボーの人生についてのリサーチをして、2007年6月にパリでプロ向けのショーケースをやった後、パリのVingtième Théâtreで7月にプレビュー公演。プレビューということでこのときは、14曲のみの発表だった模様。2008年3月にはパリのSorbonneで公演。

その後、2部構成の46場面、25曲からなる舞台になったそうです。2013年11月30日に詞の部分は完成、インタビューによると、2014年2月現在で曲の最終版の録音の段階だそうです。。

リシャールによれば、2007年-2008年の舞台は、完全版ではなく、レクチュール(読み合わせ)で完全版の上演は、今回の公演が初めてとなるようです。

というわけで、大きなプロダクションのミュージカルとはちょっと違った感じのミュージカルなのかなという気もしますが、二人がクリエーターとしてがっつり作ったミュージカル=彼らの汗と情熱が結晶となったミュージカルいうことで、大型のミュージカルとは別の意味ですごく興味があります。

追記:
下記のNDPシンガポール公演のインタビュー映像(英語。3:20-4:20ぐらいの間)で、リシャールがランボーのミュージカルについて自分のやってるプロジェクトとして紹介しています。
今まで見た映像の中で一番具体的かも。
http://www.youtube.com/watch?v=bdivsuY8Cu8
このトークの話だと公演は2014年か2015年にアジアでやることになっていますね。記者にランボーのことを詩人のジェームズ・ディーンと紹介しているのがちょっと面白い。。。英語?フランス語?と記者に聞かれ、"French first, well it's inevitable..."と答えているので、英語というか他の言語に翻訳するつもりがあるんでしょうか??規模としてはNDPよりも小さ目で、passion story(と聞こえるけど、?)なので、ダンスとか大がかりなアクロバット等は入っておらず、もっとpersonalなShowだと説明していますね。


登場人物

主要な登場人物は、ランボーとランボーを取り巻く人、6人です。それに加えて、実際の舞台では、10人ほど出演予定とのことです。2007年-2008年のときに演じた人が今回出演するかはわからないとのことですが、出演者の方たちの画像、映像も一応、載せておきます。登場人物の略歴は、HPのPersonnagesのコーナーを参照しています。

・アルチュール・ランボー(Arthur Rimbaud)
ジョナタン・セラーダ(Jonatan Cerrada

すみません。彼の略歴を載せると大分長くなりそうなので、興味のある方は、とりあえずこちらのWikiの記事こちらの記事をどうぞ。まさに「小説よりも奇なり」な人生です。私も最初読んだとき、びっくりの連続でした…。時間ができたら、書き足すかもしれません。



・ヴィタリー・ランボー(Vitalie Rimbaud)
ソフィー・デルマ(Sophie Delmas
ランボーの母。 1853年に軍人であるフレデリック・ランボーと結婚し、フレデリック、アルチュール、イザベル、ヴィタリーの4人の子を儲けるものの、1861年に夫フレデリックは別居(元々留守がちであり、ヴィタリーとの諍いも絶えなかったという。)。その後彼女の元に帰ることはなかった。以後は一人で4人の子どもを育てる。高圧的で厳格、冷淡な人物として描かれることが多いが、子供たちの教育に関しては大変熱心だった。息子アルチュールに対しては、大きな期待をかけていたが、長い間その思いは届かず、苦しみを味わう。ヴェルレーヌがアルチュールと別れてからは、徐々に人間らしさを取り戻していき、1891年にアルチュールが亡くなるまで彼を支え続けた。





→HPのgenèseのコーナーを見ていると、どうやら「Vitalie Rimbaud」という曲が最初の曲だったようなので、ヴィタリーとランボーとの関係性というのは、かなりキーになってくるのかなという気がします。ただ、それが、高圧的で厳格な母とそれに反発する息子という関係という部分がフォーカスされるのか、それとも世間のそういう一般的評価に反して、この二人にはこの二人にしか理解できない「愛」が存在していたのだ、みたいな展開になるのかちょっと興味があります。。。

・ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine)
 リシャール・シャーレ(Richard Charest)
詩人。ランボーの才能を見出し、彼をパリに呼び寄せる。妻であるマチルドには暴力を振るう一方、ランボーとは、恋愛関係になり、ベルギーとイギリスを2人で2年間放浪する。その最中、ランボーをピストルで撃ち、2年間刑務所に収監される。出所後、ランボーと会うが、絶縁状態となる。ランボーとの別離後、アルデンヌに戻り、教員となり、詩作を発表するも、最期は、アル中、ドラッグ中毒、貧困の中、死を迎える。




→ランボーといえば、まず思い浮かぶのが、ポールとのアバンチュール、という感じな気がしますが、(まあ、この時代に大っぴらに同性愛の関係を続けるってのは確かにびっくりだわ。。。)リシャールとアルノーさんが二人の「愛」をどういう風に解釈するのか気になります。

・マチルド・ヴェルレーヌ(Mathilde Verlaine)
リュシー・ベルナルドニ(Lucie Bernardoni
ポールの妻。ポールとの間に息子ジョルジュを儲ける。夫に、何度もランボーと別れなければ、離婚すると迫るも、その訴えは聞き入れられず、最終的に自ら別居請求を行う。1885年に離婚成立。その後、ポールとは一切関わることはなく、別の男性と再婚。




→この時代、男に自分の夫を取られるっていうのは、世間的にも精神的にもかなりの屈辱だったと思うのですが、夫であるポールがランボーと別れて自分の元に帰ってくると信じ「待つ女」だった彼女が、彼を見限り、新たな人生を歩んでいくというストーリーがどんな風に描かれるのかちょっと気になります。

・エルネスト・ドラエー(Ernest Delahaye)
パスカル・ラファ(Pascal LaFa) → マルタン・ジルー(Martin Giroux
ランボーの友人。中学校でランボーと出会う。ランボーの古くからの最も誠実な友であり、若き日のランボーが才能を開花させていく様を見届ける。ランボーがヴェルレーヌと放浪中も文通を重ね、ヴェルレーヌともその後友人となり、ランボー、ヴェルレーヌの双方とそれぞれ文通を行う。その後二人に関する回想録を執筆。



写真はパスカル・ラファ





→彼の役割が、一番個人的に謎なのですが、どうやらヴィタリーに隠れていろいろやっていたアルチュールの活動を支えていたある意味「悪友」のようです。そういった意味でアルチュールのよき理解者だったのかなあ。


・ジョルジュ・イザンバール(Georges Izambard)
パブロ・ビアフランカ(Pablo Villafranca
ランボーの中学校時代の修辞学の若き教師。彼自身も大変進歩的な人物だった。イザンバールは彼に図書館で詩集を借りるよう勧めたり、文学的指導を行った。これがのちにランボーの詩人としての礎となる。イザンバールは、ランボーの詩を高く評価し、よき理解者となる。ランボーは出奔を繰り返していたが、その彼を探し出し、彼の家まで送り届けたのもイザンバールだった。年齢も6歳しか違わなかったため、ランボーにとっては兄あるいは父のような存在であったが、その関係も徐々に変化していき、終わりを迎える。



以前、誤訳をしていて、その後も交流していた、としてしまっていたのですが(汗)、リシャールのインタビューの"Vitalie"の説明の中にもあるように、どうやら、2人は最終的に訣別してしまうようですね。一番の理解者であったはずのジョルジュとの決別のシーン、今から気になります…。

ちなみに演じていた人たちですが、ジョナタン・セラーダさんとリュシー・ベルナルドニさんとマルタン・ジルーさんは、アメリカンアイドルみたいなスターを探せ系の歌番組の出身者で、ソフィー・デルマさんは、シリルも出ていた「風と共に去りぬ」や「マンマミーア」に出ていた方、パブロ・ビアフランカさんも、十戒に出演(来日してるらしい。。。)、というわけで、出ていた歌手の方たちもけっこう知名度が高い方だったのかなあという気がします。

あと、リシャールは、2007年のときは、元々自分は出るつもりはなく、ヴェルレーヌ役を探しているときに、アルノーさんに「自分でやればいいじゃん!」と言われて、出ることにしたらしいのですが、今回も2014年2月のインタビュー段階では、まだ自分の歌手としての出演するかどうかは決まっていないらしいです。(出てほしいけど。)


サイト、音源

以下、ミュージカルの情報が確認できるサイト等を載せておきます。音源等はすべて2007年の公演のときのものなので、今回のプロダクションとは異なっている可能性も高いです。

Rimbaud musical のサイト(フランス語)
このミュージカルを作ることになった経緯、Rimbaudの紹介、2007年-2008年の公演時の写真、出演者等の情報が見れます。

Rimbaud musical のmyspaceのページ
何曲か部分的にミュージカルの曲が聞けます。このversionでは曲によって、たぶんランボーが歌っているはずの曲でもリシャールが歌っている曲があるので、デモ段階でリシャールが吹き込んでいる曲も含まれている気がします。
http://www.myspace.com/rimbaudofficiel

アルノーさんのmyspaceのページ
Medley Rimbaudというタイトルで何曲か曲が聞けます。
こちらは、登場人物が演じる人の声になっているversionの気がします。
上記のRimbaudのmyspaceのページには入ってない曲も含まれています。
https://myspace.com/akerane/music/songs


Total Eclipse (邦題:太陽と月に背いて
音源とかではありませんが、1995年公開のランボーに関する映画。レオ様がランボー役で出演。なかなかランボー役がハマってます。ポールとアルチュールの恋愛、マチルドとの確執を中心に物語が展開しますが、映像がとても美しいです。ランボーの人生の流れをとりあえず追うのにはお勧めな気がします。
http://en.wikipedia.org/wiki/Total_Eclipse_(film)

 今、ちょっとランボー関連の本もちょこちょこ読みだしたので、それらもいずれ追加できればと思います…。

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